お米

 新野は、千石平といわれ、区画整備された水田がとても美しいところです。伊東農園でも、稲の籾の芽出しを始めました。始めに、籾を比重1.13の塩水で塩水選をします。その後、籾の消毒を24時間行います。それから、籾を10°~17°の水に積算温度80°から100°まで浸し5日~10日おきます。その後、籾を28°から32°のお湯に1日入れ芽出しをします。籾の芽が鳩胸の大きさになったら、冷水に入れて目止めをします。芽が出たら、洗濯機で脱水したら涼しい場所に置いておき、種まきをします。

 種まきをした苗箱を、苗代に起きます。苗代は、水田に水を張り苗床を作ります。そこに、籾を蒔いて土を被せた苗箱を置きます。その上に保温材を被せ、ビニールで覆い紐で押さえます。稲を育てる時、一番初めに行うとても大切な作業です。手間がかかるので、数人で行います。

 4月下旬、代掻きをします。水を張った水田をトラクターで小切ります。代掻きは、水田に張る水の量が大切です。水が、多すぎると藁や草を土の中に練り込めません。トラクターは、ゆっくり走らせます。気持ちがはやって速くは走ると、藁や草が浮いてしまいます。速く走り過ぎてやり直したり、平らにならないため何度も行った田んぼもありました。代掻きで田んぼが平らになっていないと、この後の田植えや水の管理が大変になります。

 代掻きが終わり4,5日すると田植えをします。伊東農園は、今年から2町歩の水田を行うことになったので、田植えを2回に分けて行いました。1回目は、JAで4月1日頃に芽出しをして13日に持ってきた苗を家の近くのハウスに入れ、毎日水を撒いて育てた苗を5月の連休頃植えました。農協の苗は、普通の苗なので4条植えの乗用田植機で行いました。途中、機械が動かなくなり、農機具屋さんに電話して田植機を持ってきてもらい田植えをしました。田植機の調子が悪いと、作業がとても大変になります。

 2回目は、5月下旬に行いました。一町程の予定ですので、苗箱は330枚ほどになりました。苗代から苗箱を取り、軽トラで田んぼに苗を運びます。とても手間がかかるので、親戚の人にお手伝いを頼みました。2回目の苗は、ポット苗なので植え直しをする必要がないと思ったら、四隅が植えられなかったり、列の途中で植えられてないところがあり、植え直しをしました。初めてのポット苗の機械なので使い方を教わり、行いました。1日目は大変でしたが、2日目はスムーズに行うことができ、二日で1町歩の田植えを行うことができました。

 2021年は、全ての苗をポット苗にしました。苗箱は、630枚になりました。苗代も倍の広さになりました。田植えは、今年も2回に分けて行いました。

 8月、田んぼでは、稲の花が咲きました。朝、田んぼの見回りに行き、朝露に稲の花が咲いている景色はとても素敵です。

 7月、伊東農園の田んぼには、シラサギ、カモ、トンボ、チョウチョ、蜘蛛などがやってきます。新野には数匹のシラサギが生息していて、田んぼにいるオタマジャクシ、カエルなどの生き物を捕りに飛来します。鳥たちは、田んぼを知っているのか、よく来る田んぼとそうでない田んぼがあるようです。伊東農園の田んぼには、沢山の鳥たちや昆虫がやってきます。

 

 

 

9月中・下旬から10月上旬には、稲刈りをします。田んぼは、2町1反歩(17枚)ありますので、コンバインで10日かかります。コンバインで稲を刈り、軽トラに積んでライスセンターに運び、乾燥・袋詰めをしてもらいます。新野のライスセンターは、各家庭・田んぼ毎に乾燥・袋詰めをしてくれます。伊東農園のお米も、コシヒカリ、ボカシ米、雪の米、アトム出荷用と分けて行います。全てのお米は、米の検査を受けます。昨年、米・食味分析鑑定コンクール:国際大会in富士に出品し、食味値86,食味度86.8,合計172.6で2年連続でベストファーマーに認定されました。

 

 伊東農園では、美味しいお米を作るため、1反歩当たり伊東農園のコシヒカリでは元肥30㎏追肥10㎏、ボカシ米は元肥・追肥ともボカシ肥料(有機肥料)だけを使い、農薬も最低限のものだけを使用して栽培しています。その為、一反歩当たりの収量は8俵です。新潟魚沼のコシヒカリも8俵だそうです。稲の食味は、収量を上げると落ちるためです。昨年、収穫したお米4検体を農協の食味計で計測してもらったら、食味値87,87,87,86でした。 

 2020年、一番美味しいと思われるお米を「第22回米・食味分析鑑定コンクール:in富士山」に出品し食味値88・総合値176になりました。総合値170以上でベストファーマーに認定されました。2021年も「第23回米・食味分析鑑定コンクール」に出品し、ベストファーマーに認定されました。食味値80以上で特A米といわれます。特A米の中でも食味値80以上のお米は、新潟の佐渡・上越、長野県飯山の「幻の米」など、生産量が少なく貴重なお米と言われます。これらのお米は、高級料亭やホテルなどに出荷され、市場にはなかなか出てきません。中でも、米・食味分析鑑定コンクールで金賞・特別賞、ベストファーマーになったお米は、わずかなのでほとんど市場に出てきません。
 伊東農園のベストファーマーのお米(雪の米、ボカシ米、伊東農園のコシヒカリ)は、生産を増やしました。伊東農園のお米は、豊丘村の道の駅「とよおかマルシェ」、飯田のスーパー「キラヤ」、阿南町のナピカ、インターネットのポケットマルシェ、OWl、食べチョクなどで販売しています。

[令和4年度]

 2022年、伊東農園の伊東は、第24回米・食味分析鑑定コンクール:国際大会in小諸に米食味鑑定士として参加しました。この大会には、日本だけでなく中国、台湾から出品されたお米もあります。今年の大会は、長野県の小諸市文化センターホールで、12月2,3日に開催されました。

 会場には、全国から多くの参加者が来ていました。文化センター入口付近にはテントが建てられ、肥料や農薬、農機具など多くの会社が商品を展示していました。広い駐車場には、食べ物の屋台もがあり、真ん中には食堂用のテントも立てられていました。中でもラーメン店は、お客さんが多くいました。

 私たち米・食味鑑定士は、その中から厳選された40検体の試食をしました。検査は、外観(色、つや)、香り、食感、粘り、のどごしなどの観点で評価します。40検体の中から、一人の鑑定士が良いと思ったお米5検体の番号を書いて提出します。鑑定士は、一つの部門に40,50人います。鑑定士一人一人の好み、感性の違いがありますが、得票が多かった順に上位14が金賞、残りの36が特別賞となりました。金賞になったのは、5人から7人が投票したお米です。この大会は、とても公平な基準で行われ、日本で一番長く実施されていて、最も権威のある米食味のコンクールです。

 私は、2日の国際総合部門と都道府県代表・海外地域代表の審査を行いました。この大会まで選別されてきたお米は、どれも美味しいのですが、試食してみると色艶・香り・食感などわずかな違いがあります。

 この大会で、伊東は鑑定士6番だったので一番最前列の真ん中に座って鑑定しました。そして、何とこのときの写真が信濃毎日新聞に掲載されました。

 信濃毎日新聞に掲載されているのを、知り合いの方が見つけてくれました。写真右側の男性は、間違いなく伊東農園の伊東です。とても幸運な事に驚くとともに、教えていただいた方、切り抜きをしていただいた方に感謝です。早速、とよおかマルシェ、キラヤ、ナピカの伊東農園のラミネートに活用させていただきました。

 この大会に参加し全国の美味しいお米を食べてみて、伊東農園のお米「雪の米」「ボカシ米」「コシヒカリ」は、決して負けていないと思いました。特に、ボカシ肥料を使って栽培した「雪の米」「ボカシ米」は、新潟県の佐渡米、福島・茨城などの漢方農法によるお米と同じように有機肥料により多くのミネラル分を含んだお米です。化学肥料だけで育てたお米ではない、美味しさがあります。

 米・食味分析鑑定コンクールで金賞を取ったお米には、有機米だけはなく、各地の慣習で育てられたお米があります。また、有機米・はざ掛け米は美味しいと思われますが、食味値が良くなく美味しくないお米も沢山あります。

 お米の美味しさは、食べる人の好みがあります。また、美味しさを感じる感受性も人により様々です。これからも伊東農園は、多くの方に美味しいといっていただけるお米を栽培していきたいと思います。

【令和5年度】

 新しい水田を栽培することになりました。今年は、2町3反歩程の水田を耕します。ポット苗箱も600箱以上になります。田植えは、2回に分けて行っています。水田が増えて大変なのは、土手の草刈りです。    今年は、晴れの日が多く天候に恵まれ、稲がよく育ちました。標高が低い地域では、高温障害で白米が増えて大変だったようですが、新野は標高800メートルの高原にあり、山の水が豊富なので井水の水も十分にあり稲も順調に育ちました。

 秋の収穫の時期に、カメムシが例年より多く発生しました。伊東農園も一部の水田にカメムシが入られましたが、多くの水田は大した影響がなく一等米でした。しかし、これからはカメムシ対策をしないといけないと思います。米の生産が、だんだん難しくなってきました。

[第25回米食味分析鑑定コンクールに参加] 

 12月1,2日に新潟県津南町で行われた第25回米食味分析鑑定コンクールに参加しました。会場の津南町のニュー・グリーンピア津南は、目の前にスキー場がある公設民営型の大規模ホテルです。客室146,大浴場、レストラン、室内プール、売店、大ホールなどがあります。米食味分析鑑定コンクールには、全国から多くの参加者が来るので、このように大きな施設でないと大会を行えないのでしょう。

 今年出品した伊東農園のお米は、食味値90.1、食味度81.2合計171.3でベストに認定されました。4年間で3回受賞したことになります。今回は、今までの中で最高の食味値でした。食味値90以上を達成したで、後は食味度を上げることです。食味値が上がったのは、気温の変化とボカシ肥料など肥料の与え方にあるのではないかと思います。食味度をどのようにしたら上げられるかが、今年の課題です。

 

[イオンモール土岐のマツザワの店『FEVERS』]

 昨年の秋から、岐阜県のイオンモール土岐のマツザワの店『FEVERS』で伊東農園のお米が販売されています。どのようなお店なのか見に行きました。FEVERSは、とても大きなイオンモールの中にあるたくさんのお店の一つですが、店の一番前で伊東農園のお米を販売していました。お店の方にお聞きしたら「伊東農園のお米は、よく売れている。」と言われました。                      イオンモール土岐にいかれる機会がありましたら、お寄りください。

 

【令和6年度】